Chicken Zombies

thee michelle gun elephant『Chicken Zombies』：バンドの転換期を示す意欲作

1997年11月1日、日本のロックシーンに新たな息吹を吹き込んだ一枚、thee michelle gun elephantの3rdアルバム『Chicken Zombies』が日本コロムビアよりリリースされました。前作から約1年ぶりとなる本作は、CDとアナログ盤の2形態で発売され、彼らの音楽性と人気を決定的に飛躍させる重要な作品となりました。

特に注目すべきは、本作が彼らのキャリアにおいて初めてオリコンTOP10入りを果たした点です。それまでの地道な活動が実を結び、メジャーシーンへの確固たる地位を築いたことを示す大きな成果となりました。また、初回生産盤は裏ジャケットのデザインが黒で、通常盤が紺色という違いがあり、コレクターにとっては貴重なアイテムとなっています。さらに、2010年にはコロムビア創立100周年を記念した「後世に残したい300作品」にも選出され、その音楽的価値が広く認められています。

アルバムの内容は、彼らの持ち味であるエネルギッシュなロックサウンドを軸に、多様な楽曲が展開されています。シングル「ゲット・アップ・ルーシー」「バードメン」「カルチャー」のアルバムバージョンは、シングルとは異なるアレンジが施されており、よりライブに近い熱気を帯びた演奏が楽しめます。「ゲット・アップ・ルーシー」のアルバムバージョンは、テンポが速めになり、よりダイナミックな楽曲に仕上がっています。「カルチャー」も同様に、シングル版とは異なるアレンジが施され、新たな魅力が加えられています。

リードトラックである「ブギー」は、ミュージックビデオも制作され、当時多くのメディアで取り上げられました。アルバム全体を代表するような力強い楽曲で、彼らの音楽性が凝縮されていると言えるでしょう。一方、「COW 5」はアナログ盤に収録された別テイクが存在し、CD版とは異なるアレンジが聴けます。また、「ロマンチック」は6thシングルc/w曲のアルバムバージョンとして収録。これら以外にも、個性的なタイトルが目を引く「ロシアン・ハスキー」「ハイ!チャイナ!」「マングース」「アイブ・ネバー・ビーン・ユー (Jesus Time)」「アイブ・ネバー・ビーン・ユー (King Time)」「サニー・サイド・リバー」「ブロンズ・マスター」など、全14曲が収録されており、多様な音楽性を堪能できる内容となっています。

『Chicken Zombies』は、単なるロックアルバムを超え、thee michelle gun elephantというバンドの進化と、彼らが音楽シーンに与えた影響を象徴する作品です。オリコンTOP10入りという商業的な成功と、後世に残したい作品として認められたという評価の両面から、彼らの音楽史における重要性を改めて認識させてくれます。このアルバムは、彼らの音楽を初めて聴く人にも、長年のファンにも、新鮮な驚きと感動を与えてくれるでしょう。

もう一度検索